コラボレーションを加速させるリモートテック 180 社を公開  | One Capital, Inc 読み込まれました

コラボレーションを加速させるリモートテック 180 社を公開 

MARKET / TREND

20.12.11

今年は「リモートワーク / テレワーク」という言葉を人生で最も目にする、耳にする年になったかと思います。弊社もフルリモート体制となっていますが、業務を円滑に進めるために、あらゆるツールを使いながら試行錯誤を重ねています。

そこで、今回はリモートワークに役立ちそうなプロダクトを調査してみました。以下の条件に当てはまるプロダクトで絞った結果、180 社ありましたのでそちらを公開いたします。

・いつでも、どこでも使えるクラウドサービス
・リモートワークに役立つ、コラボレーション要素のあるプロダクト
・未上場のスタートアップであること

リモートテック カオスマップ

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それでは、各領域において特に気になったプロダクトについて紹介していきます。

Development(84社)

リモートワークになったことで、プロダクト開発におけるコラボレーションやチーム間のコミュニケーションがより重要となっています。コラボレーション要素は強くないものの、ユニークなプロダクトがありましたので紹介します。

Bravo Studio:Figma からノーコードでアプリ作成

Bravo Studio」は、プロトタイプ作成ツール Figma からコードを書かずにiOS や Android アプリを作成できるツールです。最初は本当か?と思いましたが、どうやら本当のようです。

こちらの動画を見ればわかるように、まずは Figma で作ったプロトタイプを Bravo Studio へインポートします。プレビューにて確認した後、Airtable などのデータベースへ接続すれば、あとは Publish するだけ。とても簡単そうですね。

これまでは Figma のようなツールでデザイナーがプロトタイプを制作し、それを確認しながらエンジニアが開発するのが一般的でしたが、これを使えば、開発リソースを大幅に削減できそうです。アプリは開発したいけど、エンジニアがなかなか採用できない企業に適していますね。

アプリ内にメニューバーを表示させるのはもちろんのこと、動画の再生やフォーム送信、メールの送信など、大体のことはできるようです。実際にBravo Studio を使って作られたアプリをこちらから見ることができます。まだ実績としては少ないかもしれませんが、EC やイベント、Finance に関するアプリ制作などに使われています。

Bravo Studio の特徴としては、プロトタイプ作成そのものはできないものの、その後工程、つまり、プロトタイプの中身を画面に表示させたり、実際のデータと連携し、アプリとして Publish できるところが、他の開発プラットフォームと異なる点です。

こちらは以下のようなプランで提供しています(月額支払いの場合)。プラン名がおしゃれですね。共有できる人数や API への接続可否、サポートの有無によってプランが分かれています。有料の Ole プランでは 15日間のフリートライアルができるので、まずは試してみてはいかがでしょうか。

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©︎App Foundry

Bravo Studio を提供する App Foundry 社はスペインに拠点を置く、2019年に創業されたばかりの企業です。今年2月にプレシードにて $1.1M を調達しています(調達元は不明)。同社のファウンダーは、Typeform で CTO を務めていた Toby Oliver 氏で、JP モルガンでシステムエンジニアをするなど、エンジニアの経験を豊富に持ち合わせている点が特徴的です。

Employee Success(35社)

リモートワークが普及していることで、通勤コストの削減や柔軟な働き方ができるようになってきました。一方、顔を合わせる機会が大幅に減少したことで、従業員同士のコミュニケーションが疎遠となり業務に支障をきたしたり、部下のモチベーションを把握できずに離職されてしまうという課題も顕在化しています。

Wellday:チャットツールを解析し従業員のコンディション管理

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©︎Wellday

Wellday」は、チャットツール(Slack または Microsoft Teams)におけるテキストデータを AI を用いて解析することで、そのような課題を解決しています。会話内容や時間から従業員が働きすぎていないか、生産性が下がっていないかなど、コンディションやモチベーションを管理することができます。また、従業員同士のコミュニケーションが円滑かどうかも可視化することができます。

従業員のモチベーションや会社へのエンゲージメントを測るには、モチベーションサーベイを活用することが一般的ですが、従業員側に回答する負担がかかったり、会社側にもリアルタイムに把握できず、対応が後手になってしまうなどの課題が存在します。その点、Well を活用すれば従業員の負担なく、リアルタイムに従業員のコンディションを管理することができます。

また、チャットツールの内容をベースに解析するため、データの客観性が高いのも特徴です(サーベイだとどうしてもバイアスがかかってしまうことも)。現在、Slack と Microsoft Teams のみにしか対応していませんが、今後、随時追加をしていくとのことです。

同社は、リクルート出身の牟田吉昌氏らによって 2019 年に立ち上げられた会社です。昨年8月に α 版をリリースし、ジェネシアベンチャーズや佐藤裕介氏、佐久間衡氏から 6,000 万円の資金調達を実施しました。今年7月にはプレシリーズ A の資金調達を行い、弊社及びジェネシアベンチャーズより1億円の出資を受け、同時に β 版をリリースしました。

Database / Document(16社)

従業員同士が離れて仕事をしていると、文書の共有がスムーズにいかなかったり、成功 / 失敗事例をはじめとするナレッジが蓄積しにくい面もあるかと思います。そんな時は、ナレッジの蓄積を促進するデータベースやドキュメント管理ツールを使うことをお勧めします。最近、日本でも使われるようになっているものには Notion や Airtable などがありますが、今回は別のプロダクトを紹介します。

Templafy:ドキュメントやプレゼン資料のテンプレート管理

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©︎Templafy

Templafy はドキュメントの作成・共有において非常に役立つツールです。顧客へのプレゼン資料を作成したり、メールを作成する際、1から作成するのってすごく大変ですよね・・・。

特に社員数の多い大企業だと、それぞれがバラバラのフォーマットを使っていたり、それらを統合するために無駄な工数が発生しているなんてこともあるかと思います。テンプレートがあったとしても、どこにあるか分からず、探すのに苦労をした方も多いはず。

そこで、Templafy はプレゼン資料やメール署名、ロゴデータなどを決まった場所へ格納することができるため、正しいテンプレートが半自動的に蓄積されることとなります。そのため、従業員は迷うことなく欲しい情報へアクセスすることができますし、会社としても正しいフォーマットを利用してもらえるのでガバナンスを強化することができます。現在は、Office365 や G Suite、Salesforceなどと連携することができ、メジャーなアプリケーションにはほぼ対応していると思われます。

同社は 2014 年に創業された会社で、デンマークに拠点を置いています。共同創業者である Christian Lund 氏、Henrik Printzlau 氏のバックグランドは、SkabelonDesign という Office 製品向けブランドマネジメントツールを提供する会社に所属をしていました(SkabelonDesign の創業者も Templafy のボードメンバーに名を連ねています)。

15年以上、テンプレートやドキュメント管理の領域に携わっているプロフェッショナル達が創業していることもあり、今年4月に Insight Partners をリードとして $25M を調達(シリーズC)し、累計資金調達金額は $61.4M となりました。弊社でも従業員数が増えてきたら使ってみたいツールの1つです。

Design(15社)

デザイン作成においても、コラボレーション要素のあるプロダクトへの需要が高まっています。最近では、非デザイナーでもおしゃれなバナーやプレゼン資料を作ることができる Canva のようなツールが増えてきました。

Pitch:コラボレーションによるプレゼン資料の作成

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©︎Pitch

今回紹介するのは、おしゃれなプレゼンテーション資料が作成できる「Pitch」というサービスです。おしゃれなテンプレートが豊富に用意されているため、1からデザインを作成する必要はありません。おしゃれなプレゼン資料を簡単に作ることができるのはもちろん、直感的にコラボレーションを実現できることが最大の特徴です。

Google Slide でも共同編集することができますが、プレゼン資料のどこをどのように編集しているのかは分かりません。Pitch を使えば、誰が どこを どのように編集しているのかがリアルタイムにわかるため、手戻りなく、スピーディーにプレゼン資料を作成することができます。

投資家へのピッチや営業・採用資料、社内イベントにおけるプレゼンテーションなど、幅広く利用することができます。スライド作成におけるタスク管理ができるのも、Google Slide と異なる点となります。また、タスク担当者を設定したり、ステータスを管理することもできます。ブランドカラーやフォントなどをデフォルト設定できるため、先ほどの Templafy のようにテンプレート管理を簡単にすることができます。

プランは以下の通り。基本は無料で十分に使えそうですが、ワークスペースにおける役割を設定したり、動画をアップロードする場合などは、Pro プランを利用することとなります。導入実績をみると、Unsplash やSUPERHUMAN、Notion など、イケてるスタートアップが結構使っているみたいです。

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©︎ Pitch

同社は、2018年に創業された比較的若いスタートアップで、ドイツのベルリンに拠点を置いています。創業してから3年と経たない企業ですが、これまで3度も資金調達をしており、累計 $52.7M を調達しています。

株主には、Thrive Capital や Index Ventures、Slack、Eric Yuan氏(Zoom創業者)など著名な投資家が名を連ねており、同社への高い期待が感じられます。資金調達はさておき、創業してからすぐにここまでクオリティの高いプロダクトを作っている開発力が驚異的です。

同社の急成長を支えるのはチームの強さ、特に、創業メンバーにあります。同社を創業したのは、タスク管理ツール「Wunderlist(Microsoft が買収)」を開発したメンバーで、その技術力や経験が最大限に発揮されているのでしょう。組織も急拡大し、90名近くのメンバーを抱えるまで成長しています。

このように Exit を経験した起業家が、また新たなチャレンジを始める文化は素晴らしいですね。弊社のリサーチ資料にも「Pitch」を積極的に使っていきたいと思います。

Chat(10社)

チャットツールの代表格には、Slack と Teams がありますが、今回紹介するのは「Twist」というサービスです。これはタスク管理ツール「Todoist」などを展開する Doist 社が提供しているチャットツールです。

Twist:シンプルで埋もれないチャットツール

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©︎Doist

Slack と異なる点としてはまず、Twist はスレッドベースになっています。Slack の場合、チャンネル>投稿>スレッドという順番でコミュニケーションが進んでいきますが、Twist ではチャンネル>スレッド>投稿という順番になっています。そのため、投稿が埋もれにくいというメリットがあります。確かに、Slack だとチャンネルが無尽蔵に増えてしまったり、重要な投稿がスレッド内で発生して見逃してしまうこともありますよね・・・。

また、リアルタイム性を重視していないことも特徴の1つです。Twist には、Slack のようなアクティブアイコンが存在していません。また、通知も細かく設定できるため、自分の作業に集中することができます。リモートワークの普及に加えて、働き方がどんどん柔軟になっていく世の中において、このようなプロダクトはより一層支持されていくものだと思われます。

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©︎Doist

Doist 社は 2007 年にエンジニア出身のAmir Salihefendic 氏が創業したスタートアップで、スペイン・バルセロナに拠点を置いています。2011 年に Start-Up Chile というチリの公的アクセラレーターから $40K を資金調達して以来、一度も調達をしていません。上記に記載されているように、創業して 10 年以上経っているにも関わらず、離職率が3%、VC からの資金調達は0というのはすごいですね。前述した「Todoist」も運営しているため、もしかすると、すでに黒字になっているのかもしませんね。ますます謎が深まる企業です。

Project Management(6社)

プロジェクト管理に関しても、リモートワークにおいては重要なものとなります。すでに利用している方も多いかも知れませんが、今回は「Monday.com」を紹介します。

Monday.com:プロジェクト管理ができる汎用性の高い作業用OS

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©︎Monday.com

Monday.com は、あらゆる業界・部署で活用できる汎用性の高いプロジェクト管理ツールです。また、プロジェクト管理だけでなく、マーケティング部門におけるキャンペーン管理やセールスチームにおけるパイプラインマネジメントにも活用することができます。

Mailchimp や Gmail、Slack などの外部サービスと連携することができるため、データ集約やワークフロー管理がとても楽になります。例えば、Slack と連携することで、チャンネルからファイルを共有したり、Dropbox と連携することで、ファイルの添付・共有・プレビューを簡単に実施することができます。導入実績をみると、Uber や Adobe、Unilever など著名な企業が利用していることが分かります。

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©︎Monday.com

プランは上記の通り(3ユーザーの場合)。スタンダードプランだとビューの種類が増やせたり、プロプランだと自動化できるアクション数を増やせるなど、機能によってプランが分かれています。クレジットカードなしで無料トライアルできるため、まずは試してみてはいかがでしょうか。

同社は、Wix で CTO を務めていた Roy Mann 氏らによって 2012 年に創業されたスタートアップで、イスラエルに拠点を置いています。Insight Partners をはじめとする VC から累計 $234.1M を調達しており、すでにユニコーン企業となっています(バリュエーション:$2.7B)。

Web Conference(8社)

Zoom をはじめとする Web会議システム はもはや当たり前のように活用されていますが、今回はとてもユニークなサービスを紹介します。

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©︎Tonari

tonari」は、離れた2拠点をシームレスに繋げる等身大の映像システムです。Zoom だと PC や スマホに最適化されているため、基本的には顔しか映りません。また、通信環境によって音質が不安定になったり、1人しか同時に喋ることができない、などの課題があります。

一方で、tonari は等身大のパネルを用いた会話ができるため、場の雰囲気が伝わったり、自然なコミュニケーションを実現することができます。また、音質やリアルタイム性も高いため、臨場感のある空間を作り上げることができます

職場で tonari を常時接続しておくことで、あたかも ”” にいるような環境を作ることができます。離れた場所にいる同僚と気軽に会話をしたり、アドバイスを求めたり、雑談をすることもできます。Zoom だと毎回接続するコストがかかりますが、tonari の場合、そのようなストレスを回避することができます。

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©︎tonari

上図のように、tonari はあらゆる使い方ができます。法人における利用はもちろんのこと、学校などの教育機関、ゆくゆくは自宅で利用できる消費者向けプロダクトもリリースされるかもしれません。

同社は、Google でプロダクトマネージャーを務めていた タージ キャンベル氏とエンジニアの川口氏が 2017 年に創業したソーシャルベンチャーです。今年11月にシードラウンドにて3.4億円を調達し、弊社もリード投資家として出資させていただきました。

Strage(3社)

オンラインストレージといえば、Google Drive や Dropbox、Box などが代表格ですが、日本にもストレージを提供している企業がいくつか存在します。

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©︎ダイレクトクラウド

ダイレクトクラウド社が提供する「DirectCloud-BOX」は、社内外へファイルをよりセキュアに共有することができるストレージサービスです。利便性とセキュリティ性を兼ね備えたストレージサービスとなっています。

それでは、Box とどう異なるかというと、DirectCloud-BOX はユーザー数が無制限となっています(容量は制限あり)。月額 90,000 円で利用できるため、人数の多い大企業やコストパフォーマンスを重視したい企業におすすめと言えそうです。

同社は、今年5月にスパークス・AI&テクノロジーズ・インベストメントと Primer Sazze Partners から1.85億円をシリーズ A として調達しています。

Groupware(3社)

グループウェアや社内ポータルを活用することで、全社への情報共有をスムーズにしたり、コミュニケーションを円滑にすることができます。

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©︎Gamba

gamba!」は、日報に特化したアプリケーションです。日報の提出やチェック、進捗管理などもこのアプリ内で行うことができます。テンプレートを作成し活用できるため、従業員にとっても続けやすいプロダクトとなっています。また、スマートフォン操作にも最適化されているため、外出先からも利用できそうです。

一般的には、Slack や Gmail、グループウェアや CRM などで日報を提出するケースが多いかと思いますが、gamba! を活用すれば、日報を一元管理できるため、チェックする側の負担も軽減されます。実績としては、15,000社(登録ベース)以上、97 %の企業が継続して利用しているそう。日報の管理に苦労されている企業は、15 日間トライアルできるので、試してみてはいかがでしょうか。

同社は、2012年に設立され、その2年後にスカイランドベンチャーズ及びイーストベンチャーズから資金調達を行っていますが、それ以降、調達は行っていません。

以上、今回はリモートワークに役立つプロダクトを紹介しました。いつものごとく、カオスマップに掲載したすべてのプロダクトを Airtable にて公開しておりますので、よろしければご覧ください。

Written by kakeru miyoshi(@saas_penguin

Text by

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